秋晴れの気持ちのいい季節を迎えました。読者の皆様におかれましては、ますますご健勝のことと存じます。さて、本日は表題の通り「為替介入」について、私なりの切り口で考えていきたいと思います。
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為替介入とは
為替介入(外国為替市場介入)とは通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。ちなみに日本では行き過ぎた円安、もしくは円高を抑制するために執行されます。先日実施されたものは円安を抑えるためのものですね。
出典:日本銀行
為替介入の目的
為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。年初は115円台を推移していましたが、為替介入が入る直前の9月22日には145円台後半をマークしていました。これは年初来26%以上の円安で、過去に例を見ないくらいの円安ドル高です。また、為替の安定化を目的とした為替介入の初日には、最高値と最安値の差が5円以上開くという異常事態が発生してしまいました。
※trading viewより
上の図はドル円相場の週足(ローソク足一本で一週間分)ですが、年明けから右肩上がりなのは一目瞭然ですね。
為替介入は誰がどう実施するの?
為替介入は財務大臣の権限において実施することとされています。為替介入の実務については、日銀(日本銀行)が代理人として遂行します。
法的根拠は特別会計に関する法律および日本銀行法です。
為替介入の具体的な実務
日銀は財務省に対し為替市場に関する情報を日々報告していますが、財務大臣から折り返し為替介入を必要と判断した旨の連絡を受けた場合には、日銀は財務省に対して為替相場の変動要因介入決定の判断に資するようなマーケット情報を報告します。これを受けて財務省は日本銀行に対して為替介入実行の具体的指示を行い、日本銀行が為替介入を実施します。
財務大臣の代理人として、日銀が海外の通貨当局に為替介入を委託することもあります。
為替介入の資金調達
為替介入は通貨間の売買であるため、その遂行には円やドルなどの資金が必要です。財務省所管の外国為替資金特別会計(外為特会)の資金が為替介入に使われます。
詳しくは財務省の外貨準備等の状況に記載がありますが、2022年8月末の段階での日本の外貨残高は約170兆円です。また、3.5兆円分のロングポジションも持っています。FXトレーダーならばこの額の大きさはヒシヒシと伝わると思います。
急激な円安に対応して外国為替市場でドルを売って円を買う「ドル売り・円買い介入」を行う場合には、外為特会の保有するドル資金を売却して円を買い入れます。今回(2022年9月)の為替介入はこちらのケースです。
反対に急激な円高に対応して外国為替市場で円を売ってドルを買う「ドル買い・円売り介入」を行う場合には、政府短期証券を発行することによって円資金を調達し、これを売却してドルを買い入れます。
まとめ
過去の事例を見ると1998年4月に2兆円程度の円買い為替介入を実施しましたが焼石に水、夏頃には150円に到達してしまいました。瞬間的な効果はなきにしもあらずですが、中長期的に見た為替市場へのインパクトはほぼありませんでした。最新の情報は財務省HPの外国為替平衡操作の実施状況からご確認いただけますので、実際のUSD/JPYチャートと見比べてみると良いと思います。雨上がりの濁流に笹舟で挑んでる感がすごいです。笑
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